ある家族のノンフィクション手記

親兄弟は選べない。家族という病

わが家の最初の大事件 2

午前中に自治会対抗の野球試合があり、終わってから打ち上げと称して

大人たちは集会所の奥でおじさんばかりの宴会をはじめていた。

 

エッグペイント後、遊んでいる子どもの輪の中に

たかし君(仮名)がいたが、

「お母さん、家に帰ろう」と言うたかし君に、たかし君のお母さんは先に帰るように言い、たかし君は集会所を後にした。

気が付いたら、酔っ払いのおじさんたちとたかし君のお母さんだけになった。

たかし君のお母さんは酔っ払いのおじさんたちの話の輪に入っていた。

酔っ払うと冗談も飛び交い、おじさん達はたかし君のお母さんをからかったり

笑わせたりして楽しそうだ。

父はいつものように、女性を見ると褒められずにいられない性分のため

「こんな美しい奥さんがいたら旦那さんは幸せでしょうね」

いつもの常套句を言っていた。父にとっては普通の挨拶。

 

普通なら社交辞令と受け取って、「まぁお上手ですね」など、さらっと交わす社交辞令なのだが、たかし君のお母さんは赤くなって、照れて、まんざらでもない様子。

本気で口説かれていると思ってるような…錯覚に陥っているのか

急に「お母さん」の顔から「女」の一面を出して、表情といいしぐさといい、

今まで私がただのそこらへんのおばちゃん、たかし君のお母さんだと思っていた人が

「女」の部分が顔を出し、色艶が出るというのか、表現が難しいのだが、

雰囲気からは母性というものがなくなり、妙に体をクネクネさせたりして、急に女の顔になった。私が5歳にして人生はじめて「女」を見た瞬間だった。

たかし君のお母さんの異変を察知した大人たちは、たかし君のお母さんを酒の肴としてからかいはじめた。

父も「タイプですよ」「おきれいで、とても小学生の子どもがいるように見えない。自分の奥さんなら最高」とか調子のいいことを言っちゃって、

いつものジャパニーズジローラモ節がお目見えして、子どもながらに聞いてて恥ずかしい。穴があったら入りたい(赤面)

 

たかし君のお母さんは急にポイントを稼ごうと思ったのか、

私が握りしてめていたエッグペイントを取り上げ、殻を剝きだして

small-talk.hatenablog.com

「はい。召し上がれ~」と、やさしい一面をアピールしだした。

私が大事にしていたたまごを私の同意を求めずに余計なお節介を!

さっきまで私のことはどうでもいい感じで見向きもしなかったのに。

私はこのたまごを母や弟に見せたかったのに、なんてことをしてくれるんだ。

 

子どもながらに、このまま父を置いて帰ったら危ないと思い、父の宴会が終わるのをずっとずっと待っていた。

 

…つづく

 

<当時を振り返ってみて>

まさか…

妻子がいるのにまさか…

子どもが小さいのにまさか…

同級生の子どもがいてるお母さんなのにまさか…

お互い家族がいているのにまさか…

ただの仕事仲間がまさか…

お客さん相手にまさか…

近所のおばさんだから大丈夫

近所のおじさんだから大丈夫ではないんですよね。

同じ自治会内だから大丈夫ではなくむしろ、

不倫がはじまる場所として職場、自治会はトップ入りするのではないでしょうか。

半径5mの人間が恋仲になる時

大抵まさか…といってはじまる

まさかではじまるのです。

 

理性のある者同士なら自制ができても

その日が楽しければいいじゃない?

人生楽しんだ者勝ち

家庭ってつまらないでしょ?

たまには火遊びしたいじゃない?

平凡な日常に退屈を感じてて刺激が欲しいんだからしょうがないじゃない。

誘惑の道への意識やハードルが低い者同士が出逢えば、恋仲に堕ちるのは一瞬です。