ある家族のノンフィクション手記

親兄弟は選べない。家族という病

時代は世紀末ブーム、カルトに踏み込んだ母

父の転勤で中国地方にいたが、9歳の春、3月末に関西に戻ってきた。

引っ越しの片づけもあって、母がしばらく専業主婦で家にいた。

そんなある日、学校から帰ってくると珍しく知らないおばさんが家にいた。

また別の日も、また別の日も学校から帰ってくるとそのおばさんがいた。

一見優しそうに見え、ハキハキしていて、明るく、社交的で善意や好意を装って。

そのおばさんが「聖書って知ってる?聖書の勉強してるんよ。今度私の娘を連れて来るから、一緒に遊んだらいいよ」と私に言った。

 

当時1980年代はオカルトブームが吹き荒れた時代。

世紀末ブーム

ヨハネ黙示録

日本沈没

大震災

超能力

UFO

サイエンスフィクション

マスコミもこぞって破滅ムードを盛り立てた時期で怪しげな話が大人気だった。

 

特にノストラダムスの大予言

「迫りくる1999年7の月人類滅亡の日」と言われ、

「人生最後の日に何を食べたい?」そんな話題で盛り上がっていた時代。

 

1973年に発行された著書で「1999年7の月に恐怖の大王が来る」はまさに

人類滅亡の日のことを示唆した本で

不安を駆り立てて煽られやすく洗脳されやすい日本国民には見事にハマった話題だった。

その恐怖の大王というのが

①大気汚染、水質汚濁、公害

水俣病イタイイタイ病四日市ぜんそくで苦しむ人たちが注目された時代。

核兵器、戦争、内戦、反乱、独立戦争

ソビエト連邦アフガニスタン侵攻、

ニカラグア内戦、エルサルバドル内戦、イラン・イラク戦争スーダン内戦など

のちに湾岸戦争など不安な世界情勢だった

③家庭崩壊

④疫病問題

当時はまだHIVという用語を知らない状況で、エイズは海外から持ち込まれる恐怖の病という位置づけだった

⑤大震災

など

将来に対する不安を抱えていた当時の日本でベストセラーとなり、ノストラダムス現象の幕開けとなった背景がある。

マスコミもそれを度々取り上げ、視聴者の不安を煽ったことも相乗効果が発揮され、それに触発された人たちが多かったこともあり、日本は空前のオカルトブームが到来した時代であった。

 

母はもともと尋常ではない心配性で、

石橋を叩いても結局怖くて渡らないような人。

慎重を通り越して、極端な怖がり。

ささいなことでも極端に不安になる。

まだ起こっていない未来にも不安を感じ

頭の中はいつも不安なことでいっぱいだった。

とにかく不安に敏感だった。

だから冒険・チャレンジなんて言葉は彼女の辞書にはない。

やって後悔するより、やらないが安心する人。

無難な人生を歩んできた。友達もいなかった。

それはつまり心の拠り所になりうるコミュニティを形成できる場所がなかったから

カルトに足を踏み入れても引き止める人がいない状況。

むしろカルト宗教という新たなコミュニティに足を踏み入れることで母の孤独を埋め、寂しさを満たす要素を持ち合わせており、あれもこれもダメな教義は、あれもしない、これもしない母には心地よく、ようやく自分を肯定してくれたとさえ思たのだと思う。

心に付け入るには十分すぎるほどスキがあったので入信するのに時間がかからなかったと思う。

人間って悩んでる時や苦しい時に何かにすがりたくなる。その時、たまたま出会ってすがったのが母の場合はこのおばさんであり、この宗教がみごとにマッチしてしまった。

自分の悲しみや苦しみなど心の内を聞いて自分の存在を肯定してくれる人、場所を。

人生を導いてくれ、癒しを求めていた矢先にこのおばさんが訪ねてきたのだ。

 

誰かにすがりたくなる気持ちはわかる。

一旦自分が抱えている問題を洗い出し、頭の中を整理して、自分が自分を幸せになるためには、何が必要で何が足りないのか?一度立ち止まって自分と向き合って方向性を決めないと、そこで他人に意見なんて言われたらその人の意見に染まってしまう。

人は誰しも窮地に立った時は自分と向き合って、考え方を変えていくことが求められる。

他人を変えるのではなく、自分を変えることができる人はまずカルト宗教、占いにすがることもない。

 

考えることが苦手、思考停止していて、自分の不運はすべて世の中のせい、他人のせいにして自分を変えることから逃げ、考えること、答えをみつけることを放棄し、自分ではなく他人に、何かに導いて欲しいとすがりつくのもまた簡単だった。

親し みを込めて近づいてきたこの人を家に招き入れて、敷かれたレールの上をなんの疑いもなく歩みはじめたのだった。

 

つづく

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