ある家族のノンフィクション手記

親兄弟は選べない。家族という病

★映画:ある男 〜A MAN〜

前回のつづきを更新せずに、得意の道草です。

異国の地で、日本映画"あの男"を見て来ました。

今や世界のどこにいてもNetflixAmazonプライム

国を問わず様々なジャンルの映画やドラマを見ることができ便利になりましたが、海外の映画館で日本の映画を見て、現地の人の生の反応を見るのもおもしろいものです。

以下、ネタバレ含まれますのでご注意ください。

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↓ネタバレ開始↓


前半は起伏のないシーンが続き、外国人にはどう映ってるんだろうとドキドキしながらのスタート。


登場人物は重い過去を背負っている。

過去を消し去って人生を何度もやり直そうと隠しても、なぜか身元がバレてしまう。


深刻な事情を抱えた人の人生リセットは難しい。

「新しい自分に生まれ変わりたい」という願望を叶える手段として、身元を交換?偽装する(犯罪)ことがビジネスとして成立する社会の裏側。

※あくまでフィクションです!

ですが…身元交換した相手側の「兄と折り合いが悪かったから」という理由で身元を捨てる=交換するというのは少し無理があるとは思いました。この部分はパンチが足りませんでした。


過去を隠すことは過去に執着してるということ。

映画の登場人物は重い過去を背負っているので仕方ないことなのですが、過去を隠すイコール、自分の心がいつまでも過去を引きずっているということ。

結局のところ、自分が生い立ち、生まれ育った環境、家族を受け入れられていない。

自分の生い立ちで悩んで苦しいのにひた隠したり。

色眼鏡で見られたりするのが嫌だから…

自分を説明するものが

自分そのものではなく、

自分の家族、生い立ちやルーツがレッテルとなったりする。


本作の隠れたテーマは、問題を起こした当の本人ではなく、その家族の人生さえも奪ってしまう。

"過去を執拗に糾弾して、立ち直ろうとしてもそれを許さぬ社会の冷たさ" と"その沼"から抜け出せない…負のループ。

人間とは差別意識の塊、

排除的ですぐにカテゴリーに分けたがり

なにかと理由を探しては紐付けたがり

決めつけたがる。

レッテルを貼ろうとする。

その人のことをよくも知りもしないのに人格否定したり、執拗にネットで叩く。

攻撃対象を見つけた時の破壊力は凄まじい。

なんとも闇が深い。

表面的な部分しか見れないような人が多いのは事実。

こういった大多数の他人の評価から逃れることは難しい。

自分の物差しでしか相手を測れないからゆえに相手を裁いてしまう。

測る物差しが違うのに、分かり合えるわけがない。

人を見る目であったり、伝え方というのは人格があらわれる。

想像力は人間としての成熟レベルとしてあらわれるから。

 

そして次に注目したいポイントは

"過去にこだわる男" と "今を生きる女"

異なるふたつのタイプ。

今を生きる女は気苦労せずに育った分、

ストレス、苦労、我慢などネガティブなことにはイチイチ囚われず、その時よければいい。

家族という形状さえ保てさえいればいいと割り切り、心の避難先を確保し、ずる賢く、うまく人生を渡り歩ける。

家族(映画では配偶者を指す) の本質を見ようとしない、向き合おうとしないのは

ある意味、考えすことがストレスになることをわかっているからあえて避け、ストレスをためずに浅く広くうまく生きるための知恵であり、術なのかもしれない。


エンデングは日本映画お決まりの

"最後はあなたの想像におまかせ"…という不完全燃焼な終わり方。

レイシストでどのように苦しんできて、どのように戦ってきたのかをもっと具体的に深掘りして欲しかった。

映画が終わった後、現地の人の反応が気になり、耳をそばだてて聞いてると、よかったと言ってるのを聞いて自分の作品でもないのにちょっとうれしかったです。

外国人から見ると、レイシスの部分はあのくらいライトでもよかったのかもしれない。日朝韓の間に差別が存在してることがわかればよかったのかもしれない。私的には掘り下げて欲しかったですが。

 

人生につきものの「たら」「れば」

誰もが過去を消せなら

人生をやり直したら

生い立ちを変えれたら

誰もが考えた事があり

悩む事だから響くのでしょうね。

 

原作:東野圭吾

映画「手紙」も心に響く作品。

血筋、家族は選べない。

自分ではどうしようもできない家族というしがらみで苦しむ主人公。

生い立ちのせいで何度も人生をやり直そうと試みるも、逃れられない。血縁だからこそ生まれる愛憎。

人間関係の基礎は生まれ育った環境で作られる。

血縁というのは切りたくても切れない。

切ったと思っても切れない関係性だからこそ複雑に絡まって、雁字搦めになって苦しめるのかもしれませんね。

 

傷ついても一生懸命生きて

その中で幸せを見出そうとしてる人、

そういう人が好き。自分と似てるから…

人は色々抱えて生きています 

顔で笑って居ても、心は悲しみでいっぱいな時もあるし、それを表に出せない時もある。

それを「想像」する"器"があることは大事なことだと思っています。

 

うまく纏められませんでしたが、拙い文を最後までご覧いただきありがとうございました。