ある家族のノンフィクション手記

親兄弟は選べない。家族という病

離婚後、養育費未払い=育児放棄

ある日の夜、父は母方の祖母宅に

離婚届けを持って突然訪ねて来たという。

夜遅かったということと、

以前から離婚のことを母から聞いていた祖母は、

あまりよく考えずに証人欄にサインをした。

祖母らしいなぁと思った。

祖母はまさか怒られるとも思わず、父が突然夜訪ねて来たことと証人欄にサインしたことを電話で事後報告をした。

母は発狂した。

「離婚するつもりなかったのに、なんてことしてくれたんだ」と泣きわめいた。

離婚するつもりがなかった?というのは、矛盾している気がするが

(一貫して離婚する気がない姿勢を見せていたのなら、話は別だが)

前言ってた話と違うなぁと子どもながらに思ったが、

そんなことを言える雰囲気ではないので

当然口を挟むなんて論外、黙って母親を見ていた。

離婚なんてする気がなかったと半狂乱になっていた。

後日、私を連れて、市役所や家庭裁判所などに離婚の異議を申し立てに行ったが

ことごとく「離婚成立している」と言われていた。

家庭裁判所の待合室の席でいた女の人が、後日談で父の不倫相手であることがわかった。

事前に知らされていたら、よく観察していたのだろうけど

知らされていなかったのであまりよく覚えていない。

ただ、うっすら記憶にあるのは地味な人という印象。

母とは逆の大人しい、服従タイプを求めたのだなと思った。

 

父が私と弟を引き取るというのは、離婚の話を進める上でのコマだったのか

母が納得する案を提示したように見せかけただけだったのか

それとも相手の女が「育てられない」と言ったからなのか、

真相はわからないが、私と弟を引き取りに来ることはなかった。

 

当時はまだ離婚についての著書などない時代で

どうやったら有利に慰謝料や養育費をもらえるかなど

母は離婚のリスクや知識、心構えがなく、

養育費についても口約束で交わした程度で、結局支払われることがなかったそうだ。

 

子どもより自分を優先してしまう自己愛が強い父なら当然のことかなとも思った。

 

行く当てがなくなった私と弟は結局母に育ててもらうことになる。

それはつまりエホバの証人の活動とセットであること。

毎日のムチがあることだ。

 

以前は離婚の危機で荒れていた母だったが

離婚した後は、以前より増して些細なことでもムチが登場し、

言葉と暴力(ムチ)で完全に母親の「サンドバック」になった。

 

「私は離婚したくなかったのに佐久間姉妹が言ったから…」

「離婚する気がなかったのに祖母がサインした…」

「あんたがお父さんに懐かなかったから…」

「こんなことなら産まなければよかった」

「産みたくなかった…」

「消えてほしい」

「目障り」

などと「人のせい」をするし、感情の垂れ流し。

多少なりとも自分が招いた結果とは思わない。

わざと子どもを否定する言葉を投げつける。

子どもが傷つくことを言ってストレスを発散させる。未熟な人だ。

 

「あんたらのお父さんはあんたたちがかわいくないんよ。

だから養育費だって一円も払わない。あんたはお父さんから見捨てられた子なんよ」

「卒業式なのにお祝い金もないなんて、あんたらのことなんてすっかり忘れてるのかね?」

それって言う必要ある?不幸を私たちにも押し付けないで欲しいと思っていた。

悲劇のヒロインぶる

しかもその負の感情を、子どもにも共有させて巻き込む。

 

悲劇のヒロインでいたい人

不幸でいたい人

かわいそうな自分に酔っている人

こういう人は行動を起こさない。

行動を起こして変えようとしない。

 

向こうの家や、父の実家に乗り込んで、

きっちり養育費を払うまで何度も交渉することだってできたはず。

父に非があっての離婚だし

育児放棄した父が一番悪い。

 

こっちだって本気見せて、しぶとく交渉していたら

向こうだってしぶしぶでも養育費を払っていたかもしれない。

養育費のことをずっとひつこく子どもに言い聞かせるくらいなら

行動を起こせたはずだ。

ただ、家で文句言うくらいなら、乗り込めよと思う。

 

養育費をもらわず、過去を振り返らず、必死で子どもを育て上げようとしている素晴らしいお母さんは世の中にいるが、うちの母はその部類ではない。

ただ、自分はかわいそうな人、悲劇のヒロインでいたいだけなのだ。

ずっとシクシク言いたいだけなのだ。

 

ことあるごとに

「お父さんに一生会わないで欲しい」

「お父さんに連絡したら許さない」

「あんたのそういうところは父親にそっくり」

「あんたのお父さんはね、家庭を捨てた。

 そんなお父さんに会おうなんて思うことは絶対許さない」

「今、お父さんのこと考えてた?こんなにお母さんは頑張ってるのに…」

この不毛な会話は、私が10歳の時に両親離婚して以来、

頻繁に母が口にしていることで35年以上言われ続けている言葉だ。

よくもまぁ古い話を、同じ話を毎回懲りずにするってある意味才能。

私自身は、実際のところ、父のことを思い出すことはなく、

母のこのセリフによって父を思い出すくらいだ。

 

耳にたこができるくらい聞かされるから、

反対に父に会いたいとすら思わない。

むしろ母のひつこい問答の度に父に会っているようなものだ。

母がカルト宗教にハマっていき助けてほしい場面、

理不尽な家庭内暴力に苦しんでいる時に手を差し伸べてほしい場面はあったが

助けようと思っている親なら、離婚前に救い出せることもできたはず。

だけどそういう素振りは一度もなく、自分のことで頭がいっぱいの父に

助けを求めても無駄だなと自分の中で消化して自分を納得させていた。

今現在、父親が生きているのか死んでいるのかも知らない。

私の人生の中で関係ない人というのが感想で

父なしでもなんとか生きてこれたし、

兄弟間で父親の話をすることもない。

弟も私も結婚する時、誰も父に連絡しなかった。

これも母のお経のような呪文が効いてるのかもしれない。

 

父は父で最初の家庭は失敗作、きれいさっぱり忘れて

人生をリセットして、次の家庭では成功させてやるんだ。

だから忘れようとしているのかもしれない。

 

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