ある家族のノンフィクション手記

親兄弟は選べない。家族という病

家にも学校にも…どこにも居場所がなくなった 

隠していた漫画がバレてしまった。

「今月の伝道時間は?」

その月に限って、校区内に集中したこと、雨が降っていたこともあって

平日夕方の伝道時間が少なかった。

校区内は同級生や同校生のお宅があるから、できるだけ避けたい。

校区外の地域訪問優先で時間を稼いだ伝道活動をしていた。

 

「大きいサタンがついてる。サタンの喜ぶことをして、こんな時間があるなら伝道をしなさい。お前だけはぁぁぁ!お尻出しなさい!!!」

母は私にとりついたサタンを追い払うような勢いで、いつもより多めのムチを

いつものガスホースで力づくで叩き続けた。

 

ムチだけで済んだらよかったものの、漫画を奪われてしまった。

「お願い。それ友達のだから返さないといけないからごめんなさい。返して!」

私がむきになればなるほど、母親もむきになる。

庭に投げつけ、漫画に火をつけた。

まるで漫画にサタンがついていて、追い払うかのように。

みるみる燃えていき灰になっていく漫画をただ見守るしかなかった。

 

友達に返すにしても、お小遣いがないので弁償できない。

まずい!

非常にまずい!

でもどうすることもできない…。

学校に持ってきたものの無くなったといえば、学校中の騒ぎになる。

どうしよう。

あああ。どうしよう。

思いつく限りの言い訳を考えたがいい案が浮かばず、

正直に話そう…と決めた。

でも正直に話しても理解してもらえないから

私が勉強しないで漫画に夢中になったことで母親に怒られて捨てられてしまったと言おう。

許してくれるかな?許してくれないよね?どうしたら許してもらえるだろう?

弁償以外の方法でないか考えたが、全く思いつかない。

漫画1冊約350円×冊数 

数冊借りたから弁償額は数千円だ。

 

おこずかいがないから100円ですら払えないのだ。

友達がパンを食べてても、私は買えないし

遠足でお菓子も持っていけない。

いつも持ってくるのをお金忘れた(笑)

買ったのにお菓子を持ってくるの忘れた(笑)と

おっちょこちょいキャラで誤魔化していた。

お金がない惨めさはつらかった。

かわいそうと思われたくないし、

貧乏で揶揄われることも嫌だったし

お金がないことでまわりに気を遣わせるのも嫌だった。

中学生には経済力がないから、弁償できない。これほどつらいことはない。

でも他に方法が見つからないので、友達に正直に打ちあけた。

「勉強しないで漫画に夢中になったのをお母さんに見つかって怒られて捨てられてしまったの。本当にごめんなさい。いつか…将来必ず返すからちょっと待って欲しい」

 

たまたま借りた本が入手困難な漫画だったらしく、友達は呆然と肩を落とし

言葉が出てこなかった。

一層のこと責めてくれ方がまだいい。

責められもせず、怒りもせず、ただ本当に悲しそうだった。

きっと冷静になってから、あとから怒りがこみあげてきたに違いない。

あの時のことは本当に申し訳なく思っている。

 

しばらくして、クラスメイトからなんとなく避けられている感じがした。

教室の移動が伴えば、いつも一緒に行動していた友達が先回りして移動していていなかったり

お昼ごはんの時間も私が入れないように輪が小さくなっていたり

気づけば、いつの間にか一人でポツンとなっていた。

いじめらたという言葉は被害者意識があるので使いたくないが

あきらかに私を避けるように誰もいなくなった。

 

原因はわからないが心当たりは多々ある。

漫画の件。

大事にしていた漫画が返ってこない憤り。

謝って済むわけがない。

行き場のない怒りを誰かに聞いてもらうのが女の子だ。

話したことによって、まわりからもあり得ない。とジャッジされ

集団で避けたのだと思う。

 

避けられる要素は他にも考えられ、複合的だったのかなとも思う。

・漫画の件

・家にテレビがないこと

・学校に必要な集金がいつも遅れる

・家に聖書や宗教関連の書籍しかない異様な雰囲気

・電話で盗み聞きされ、途中で線を抜かれる

・ブルマになったら青あざだらけ

・週末になったら正装して伝道活動している

 

はみ出し者というのはいつの時代も弾かれる。

日本という国に住む限り避けて通れない

迷惑をかける者、

ルールを守らない者、

歩調をあわせられない者は弾かれる。

集団行動を強いられる思春期にみんなと同じことができない環境下で

ましてや人の物を破損、損失させた自分に原因がある。

非がある分、自分から輪に入っていけなかった。

中学が始まって数か月しかたってないのに

これから先、長い中学生活、

ずっと孤独かもしれない恐怖と

家にも

学校にも…

どこにも私の居場所がない

お先真っ暗な現実を目の当たりにし

虚無感、孤独感、憔悴感、無力感、絶望感…に打ちのめされた。

人生をあきらめた。

何の生きる希望もなく、毎日をただ重ねるだけの日々。

価値観のない人間…。

 

私の住む町では歩道や自転車道がない県道が多く、

トラックの往来も多い狭い県道を通らないと家に帰れない。

いつもならハンドル操作を誤らないよう緊張して自転車を漕いだ。

 

でも、この時の私は違った。

トラックの運転手が手元を狂って私をひき殺してくれないかな。

誰かよそ見して、車で一瞬でひき殺してくれないかな。

今ここで大きな雷が私に落ちてくれないかな。

苦しまずに一瞬で消えてしまいたい

そんな思いにかられながら、

帰り道、ひとりになるといつも泣いていた。

泣くことで多少は浄化されていた。

泣くことで私の慰めになっていた。

家に帰りたくないが帰る場所はそこしかない。

学校にも行きたくない。

けど親から力づくでも学校へ行くよう追い出される。

それは1回だけのことで、この親の元で生きていかなければならないのなら、抵抗しても無駄だ。

あきらめの気持ちから、抵抗せず、休むことなく学校に通った。

生きる意味も生きる価値も生きる勇気も失った、つらい中学1年生だった。

 

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