ある家族のノンフィクション手記

親兄弟は選べない。家族という病

ストレスは肌に現れる。ストレスは体に出る。

化粧品部員や美容師さんに「キメ細かい肌ですね」と褒められるが、

子どもの頃は、原因不明の皮膚病に悩まされた。

病院に行くと原因不明の皮膚疾患は「アトピー」と診断された。

手荒れがひどく、アカギレ、切り傷で手が腫れあがり、傷口から汁が出て、その傷口をふさごうとすると引っ張られた方の別の傷口が広がる。

痛みから勉強に集中できないことも多々あったし、

傷口が広がって痛くて寝れないこともあった。

皮が幾層にもなり、見た目も痛々しく、小学生の手とは思えないほど

カサカサでシワシワで、黒くなっていた。

母がJWの勉強をはじめた辺りから、私が食器洗いをすることになったので

洗剤による手荒れだと思っていた。

それも原因のひとつだとは思うが、追い打ちをかけるように

顔にもアトピーが出るようになった。

特に皮膚の薄い、目のまわりは真っ黒で、荒れた肌は皮膚が幾層にもなり、まるでパイの層のようになっていた。

あまりにも手荒れがひどいので

洗い物を辞退したい、弟たちは家の手伝いを一切しなかったので

洗い物だけでも弟に交代してもらえないかお願いしたが

JWの教えでは男をたてるため、

女が働けの一点張りの母だった。

手荒れからくる傷口の痛みがつらく、悪化していく一方なので

どうにか水仕事だけ外してもらえないかお願いをしたが、受け入れてもらえず

口答えする者には…とムチをチラつかせて来るので結局洗い物と風呂掃除をするしかなかった。

洗い物のタイミングも母親の思う通りにしないとムチでたたかれた。

食後にちょっとゆっくりしたい時だってあるが

母の気分次第でムチがふりおろされる。

食べたらすぐに台所に行って皿を洗わないと容赦なしに叩かれた。

 

年子の弟が小学生高学年になり、体も大きくなり、力も強くなってきて男の子の成長に恐れを抱くようになった母は弟へのムチは控えるようになっていた。

その分の反動で私へのムチが増えていった。

ストレスの発散の矛先は私だった。

 

アトピー性皮膚炎に加え、慢性的な咳にも悩まされた。

「百日咳」と診断され、原因不明の咳が出る。

授業中に強い咳が出るので、白い目で見られる。

止めようとすればするほど、体に力が入ってしまうし、息を大きく吸い込むと咳で荒れた気管を刺激して咳が出るという悪循環。

強い咳の後は嗚咽が出るし、全身を使うので常に胸が痛い。

夜寝ている時も咳が出る。

強い咳のせいで涙が出てくるし、気管や肺が常に痛かった。

100日経っても咳が止まらず

本来なら咳が出にくい季節、湿度が高くなる梅雨や真夏の時期でも咳が止まらなかった。

「百日咳」と診断されたがのちに「小児喘息」と診断されたが中学生になっても症状が改善することはなかった。

 

手荒れは思春期の時分にはつらかった。

あらゆる皮膚科に通ったがどの薬も完治しなかった。

 

日本全国から慢性皮膚疾患で悩む患者が駆けつけるという、噂の駆け込み寺的存在の病院があると教えてもらった。

どんな皮膚炎でも治ると有名で

この名医を訪ねて全国から患者が押し寄せる。

高取村(当時は村だった)にある有名な病院で

学校を休み、片道3時間かけて行った。

南は鹿児島から

北は青森から噂を聞きつけて患者が訪れるという名医、決して交通の番がいいと言い難い田舎。

壺阪駅で下車する人は大体病院目当て。

病院の場所がわからず、不安だったが

人の波について行くと病院に到着した。

小さい村に、小さい診療所(当時は)に大勢の人が押し寄せた。

診察受付順に診てもらえるのだが朝早く受付して

診察してもらえたのは夕方だった。

それほど大勢の人が来ていた。

待った時間は長かったが診察時間は一瞬だった。

噂どおり、処方された薬は効いたのだが、薬が切れると再発した。

病院は遠いので気軽に行ける距離ではなく、1回きりで行かなくなった。

近くにあったらいいのに…

行くだけでも一日仕事なのであきらめた。

 

年頃の女の子なので当時は相当悩んだ。

見た目も悪いし、痛そうで、肌がドス暗くて

鏡を見るのが嫌だった。

ツルツルの肌とまでいかなくていい。

せめて人並の肌になりたかった。

そんな年頃の悩める私に

母は追い打ちをかけるように罵倒する。

 

末っ子の弟を膝に抱き、猫かわいがりして

それを私に見せつけながら

「お前はなんで汚いんだ。こっちに来るな。あっちに行け」

と手で払うしぐさを毎日のようにされた。

自分でも汚いと思っている。

でもなりたくてなっている訳ではないのだ。

宿題や勉強の時は塗り薬(軟膏)の油分が紙についてしまうので

薬を塗ってしばらくは本や紙を触れることができない。

それでも傷口が痛いので、こまめに薬を塗らないとよくならない。

薬を塗る姿が疎ましいのか、わざとズケズケと傷つく言葉を

あえて選んで言ってるようだった。

思ったことを全て言わないと気がすまない母。

喉元で止めることができず

私のことを虫ケラくらいにしか思っていないように見える。

悩んでいる人に向かって言うことなのかと本当に神経を疑った。

どうしてわが子に対してここまで残酷になれる人がいるのか?

無償の愛をくれるはずの存在である親から、容赦ない誹謗中傷は

学校にも家にも居場所がない私には相当堪えた。

私の居場所はどこにもない。

学校にも家にもない。

私を必要としてる人がいるのか?

生きている意味もわからない。

こんな状況なら一層消えてしまいたい。

こんな汚い容姿の私はなぜ生きているのか?

なぜ神は私をこの世に存在させたのか?

打ちのめされて傷ついた心では

もう立ち上がれなくなっていた。

感情のまま、思ったまま口に出してしまう母。

吐き出した言葉で人がどいういう気持ちになるのか

人の気持ちのわからない、心を持っていない母との暮らしがつらすぎた。

 

私はこの時期から手を洗わずにはいられなくなっていた。

ちょっと何かを触っただけでばい菌がついた気がして

ついさっき手を洗ったところなのに、石鹸で手を洗わないと気が済まなくなっていた。

特に汚れたものを触ったわけでもないのに石鹸を泡立ててきれいにしたい。洗いたい。

一日何十回と。

1時間に何回も洗いたい衝動にかられるのだ。

傷口が広がるし、傷口が痛むし、手荒れがひどくなるし、傷口が熱を帯びているというのに

なんども洗面所に行っては手を洗った。

洗えば決まって傷口が滲みた。傷口が傷むし、やめたいのにやめられなかった。

自分でもわかっていた。

数十秒前も手を洗っていたことを。

でも汚れた気がして、手を洗いたい衝動を止まらなかった。

あぁ。私壊れている。

私完全に頭がおかしくなっている。

 

母が私を汚い目で見ればみるほど、手を洗いたい衝動、手が汚くて耐えられない妄想を抑えきれなくなっていた。

 

とことん追い詰められた私はどん底まで行った。

悩みに悩んだ。

底まで行って気づいた。

全て失って気づいた。

堕ちるところまで落ちた私は

今度は這い上がるしかなくなるところまでいって

一縷の望み…私の中で今まで思いもよらなかった発想がふぅーと思い浮かんだ。

「母から逃げよう!」

うまく言葉に表せないけど

ボヤッとした何かを。

ムチで思考停止してしまった私には

ふと舞い降りたこの発想を

輪郭がはっきりしない何かを

もやもやとした何かを掴みかけた。

掴んだ望みを必死に膨らませた。

 

当時はムチで脳が委縮して、思考停止していたから、考えようとしたら頭の中が

もやもやしていた。うまく言語化できなかった。

 

今なら思う。

あの時中途半端ではなく、全て失ってよかったと。

家にも、宗教の集会所にも、学校にも、どこにも私の居場所はなかった。

心休める場所なんてなかった。全部失わなければ

恐らく母から逃れたい気持ちも

JWの世界から抜け出そうという発想も

思い浮かばなかったかもしれない。

人間はとことん不幸でどん底に堕ちてこそ

全て失った時に気づくこともあることを。

…つづく

 

 

ちなみにJWから離れ、

母と距離を取るようになってから

全ての症状は消えた。

6年間悩んだ皮膚病からも解放され

咳も止まった。

風邪をひいたら弱いところに症状が出るので

一番に咳が出るし、咳が治りにくい傾向にはあるが

それでも年柄年中咳き込んでいたのが嘘のように治った。

母親の言動で傷つき、暴力という恐怖心で支配され、母親の顔色を伺って生きてきた、

抑圧された生活への拒否反応として

体にあらわれたのだと思う。

今では美容部員さん、美容師さんから美肌の秘訣を聞かれるほどに美肌に。

特になにもお手入れをしているわけでもないのに。

皮膚炎で黒かった肌が嘘のように透明感のある肌になった。

 

心に問題を抱えてると「無意識」のメッセージとして症状、精神に現れる。

ストレスは体に出る。

ストレスは肌に出る。

ストレスは精神に出る。

そのことを身をもって体験した出来事だった。

もしあなたが原因不明の皮膚炎、咳、心身のSOSに気づいて悩んでいるなら、一度環境を思い返してみてはいかがでしょうか。ストレスが原因かもしれません。

 

 

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